まさかこの年齢になってプリキュアを見ることになるとは。ましてや、こんな記事まで書いてしまうとは……。人生、何があるかわからないですね。
今回の『名探偵プリキュア』は、主人公の明智あんなが1999年にタイムスリップし、探偵に憧れる小林みくるとともに「名探偵プリキュア」として怪盗団ファントムと戦う物語です。
果たして、あんなは元の時代に戻ることができるのか。タイムスリップもの+謎解き要素+アクション。面白要素がてんこ盛りのプリキュアとなっています。
1999年を実際に生きてきた親世代にとっても、当時のものが登場したり、当時の時代背景が垣間見えたりと、親世代も楽しめる作品なのではないでしょうか。
そんな『名探偵プリキュア』ですが、今回はみなとみらい周辺の聖地を巡ってきました。
ただ聖地を紹介するだけではありません。作中に登場する探偵事務所の地図を実際の地図に当てはめてみたり、そもそもどのような場所だったのかを調べたりしてみました。
聖地巡礼をしながら、現実と作品の舞台を照らし合わせていきたいと思います。
聖地巡礼マップ
1話に登場するみなとみらいの聖地
作品全体を通して、実際に存在する場所や建物はほとんど登場しません。そのため、聖地巡礼スポットとして実際に訪れることができるのは、主に1話に登場するみなとみらい周辺です。
ストーリーの中で気になるのが、2027年では「マコトミライタウン」と呼ばれているのに対し、タイムスリップした1999年では「まことみらい市」となっていること。
実際のみなとみらいは、「みなとみらい○丁目」という行政地名が設定されており、「みなとみらい」は町名です。そのため、「マコトミライタウン」という表記の方が、現実のみなとみらいに近いと言えそうです。
今回訪れたのは、1話冒頭に登場する「汽車道・港二号橋梁」付近、横浜赤レンガ倉庫、クロック21。そして、あんなの自宅付近にある交差点も訪れてみました。
汽車道・港二号橋梁

写真 第1話のあんな初登場シーン
あんなの初登場シーンは、汽車道の港二号橋梁付近です。
右下に見えている線路は、かつて横浜港の貨物輸送に使われていた臨港線の廃線跡です。
この線路は、桜木町駅方面から横浜港駅を経て、山下埠頭方面へ向かっていた貨物線の一部。蒸気機関車が貨車を牽引していた時代もあり、現在の「汽車道」という名前にも、こうした鉄道の歴史が残されています。
ちなみにみなとみらいが開発される前、この臨港線を利用して「横浜博覧会臨港線」が運行されていました。
1989年の横浜博覧会では、会場へのアクセスを担った鉄道も大きな役割を果たしています。当時の臨港線がどのように使われていたのか、その後みなとみらいがどのように変わっていったのかについても記事にまとめていますので、こちらもぜひご覧ください。

後ろに写っている鉄橋は「港二号橋梁」。
港二号橋梁は、1907年にアメリカン・ブリッジ社で製作された歴史的なトラス橋です。現地で一から作ったものではなく、アメリカで製造された部材を日本へ輸入し、現地(横浜)で組み立てて架けられた橋です。

アメリカ橋と言えば、目黒と恵比寿の間にある恵比寿南橋を思い浮かべますが、こっちが本当のアメリカ橋(アメリカン・ブリッジ社製)です
そんな歴史的な場所から、物語はスタートします。
……ですが、後に登場するあんなの自宅との位置関係を考えると、実際にはこの道を通ってケーキを買いに行くことはなさそうです。
とはいえ、そこは「好物のブルーベリータルトのお店が赤レンガ倉庫に出店していたけど、タルトは売切れでホールケーキを買った」ということにしておきましょう。
赤レンガ倉庫


写真 赤レンガ倉庫
汽車道をそのまま運河パーク方面へ歩き、万国橋の交差点を越えると、赤レンガ倉庫が見えてきます。
実際に訪れてみると、イベントが開催されていたため、劇中と同じアングルで写真を撮ることはできませんでした。
とはいえ、赤レンガ倉庫では一年を通してさまざまなイベントが開催されているので、何かのついでにふらっと立ち寄ってみるのもオススメです。
ちなみに、劇中に登場した赤レンガ倉庫は、なぜか青色に染まっていました。
現実の赤レンガ倉庫とは大きく異なるので、この演出が何を意味しているのかは現時点では謎。単なる演出なのか、それとも今後のストーリーにつながる伏線なのか、これからの展開に期待したいところです。
コスモクロック21


写真 コスモクロック21
みなとみらいのシンボルとも言えるコスモクロック21。劇中では、時刻が表示される部分に「MAKOTOMIRAI 2027/01/24」と表示されています。
実際のコスモクロック21には、この部分に時刻が表示されています。「クロック」の名の通り、時計仕掛けの観覧車です。現在では、以下の図のような演出はあまりされていませんが、どのような仕組みについては、以下の図で説明します。


そんなコスモクロック21ですが、現在の場所にあるのは、あんながタイムスリップした1999年から。それ以前は、運河を挟んだ対岸に設置されていました。
この移設については、横浜博覧会の記事で詳しく解説していますので、興味のある方はこちらもご覧ください。





劇中の第25話で「ランドマコトタワー」が登場しました。
実際にあるランドマークタワーと同じく、1999年当時から存在していたコスモクロック21。今後、劇中に登場するのかにも注目です
みなとみらい五丁目交差点


写真 みなとみらい五丁目交差点付近
あんなの自宅は、みなとみらい五丁目交差点付近に設定されています。タワーマンションが建っている場所ですが、実際に住んでいる方もいる場所なので、写真では少しぼかしています。
劇中の第2話では、あんなの自宅周辺がまだ開発されていない様子が描かれています。
実はこれは現実のみなとみらいとも一致しています。1999年当時、この辺りは現在のような街並みではなく、まだ開発途上の場所でした。
作品の舞台を実際に照らし合わせてみると、こうした時代背景まで反映されていることが分かります。このあたりも『名探偵プリキュア』の面白いところ。



自分がここに住んでいれば、赤レンガ倉庫までケーキを買いに行くより、近くの横浜駅周辺にあるデパートで買うんだろうな……と、ロマンもへったくれもないことを考えていました
代官坂通り(前期EDの場所)


写真 代官坂通り
アニメでは電柱や案内板などが描かれておらず、建物にある赤レンガは実際より多くなっています。現地はレトロな雰囲気が漂う特徴的な場所です。
ここはそれほど車の通行量は多くありませんが、住宅街にある道路です。聖地巡礼する際は、周囲の住民や通行車両に十分注意してください。
探偵事務所の地図を現実の地図にプロットしてみた
『名探偵プリキュア』を見ていて気になったのが、探偵事務所に描かれている地図です。
1階と2階、それぞれに神奈川県東部の沿岸部と思われる地図が描かれており、いくつかの場所には「○」や「×」のような印が付けられています。
これを見ていると、どうしても現実の地図と照らし合わせてみたくなります。そこで、作中の地図を実際の地図にプロットして、どこまで一致するのか調べてみることにしました。


探偵事務所1階の地図 出典:「名探偵プリキュア」第2話より引用


探偵事務所2階の地図 出典:「名探偵プリキュア」第3話より引用
1階と2階では○×の位置は重なっていませんが、ほぼ同じ場所を見ていると思われるところもあります。
そこで、1階と2階の○×の位置を実際の地図にプロットしてみました。


出典:国土地理院「地理院地図」を基に作成
作中の地図と合いそうで、合っていません。
アクアラインが新子安辺りから伸びていたり、海岸線の形は何となく似ていたりするのですが、よく見ると現実の地図とは一致しません。
そのため、今回プロットした○×の位置も、作中の地図を現実の地図に無理やり合わせたものです。実際の場所を正確に示しているわけではありません。



これは物語の話なので、大目にみよう
とはいえ、せっかくここまでプロットしたので、この○×の位置には実際に何があるのか見てみます。
拡大した地図だけでは、○×の位置に何があるのか分かりにくいと思います。そこで、南北に分けて、さらに詳しく見てみます。
○×の場所には何がある?


出典:国土地理院「地理院地図」を基に作成
基本的に北側から順番に番号を振っています。同じくらいの経度にある場合は、西側から番号を振りました。
④のランドマークタワーについては、第25話で「ランドマコトタワー」がこの位置に登場したため、作中の描写に合わせて、無理やり「ランドマークタワー」の位置にプロットしています。
こうして○×の位置に何があるのか確認してみると、一部には工業地帯や大学もありますが、基本的には公園があることが分かります。
そして、探偵事務所の位置についてもプロットしてみました。
第3話の3:30辺りで探偵事務所がこの辺りにあることが示されていたため、その位置を現実の地図に当てはめています。
同じく第3話の3:40辺りでは、探偵事務所から少し高い場所から海を眺めているようなシーンがあるため、丘の上に建っているものと思われます。
実際にプロットした場所は、三殿台遺跡がある辺り。三殿台遺跡も丘の上にあるため、「丘の上」という点では一致しています。
ただし、建物自体は作中の探偵事務所とはまったく異なります。
そこで、建物の雰囲気が似ていて、なおかつ丘の上にある場所を探してみると、「旧東伏見邦英伯爵別邸」が候補に挙がりました。
旧東伏見邦英伯爵別邸は磯子辺りにありますが、作中の探偵事務所としてプロットした場所からは大きく離れています。そのため、今回は探偵事務所の候補として採用しませんでした。


出典:国土地理院「地理院地図」を基に作成
こちらも基本的に公園が確認できます。そして、工業地帯が1か所あります。⑤の磯子区田中周辺については、○×の位置に対応するようなスポットを確認できなかったため、地名をそのまま表示しています。
北側の地図と同様に公園と工業地帯を中心に〇×の印があります。
ここで、これまでのストーリーを振り返ってみます。
第15話では、ダム湖でマコトジュエルが砕けた場所を訪れ、森亜るるかの手がかりを探しているシーンがありました。
さらに、第29話の10:45辺りでは、「怪盗団ファントムが探している『マコトの地』はこの街にある」という発言があります。
この2つから考えると、探偵事務所の地図は「マコトの地」を探した痕跡なのではないでしょうか。
そして、マコトジュエルが砕けた場所が水辺のある公園だったことを考えると、探偵事務所では「マコトの地」を探すために、水辺のある公園を重点的に調査していたことを示しているのかもしれません。



第15話で登場したダム湖は多摩湖の村山貯水池です。作中のように自由に人が立ち入れる場所ではないので注意してください
聖地巡礼の感想
今回の聖地巡礼のきっかけは、職場で「面白い」と話題になっていたことでした。
何の気なしに旅行先のホテルで見てみたところ、確かに面白い。結局、サブスクに加入して全話観ることになりました。
そして1話の冒頭に登場したのが、みなとみらい。自分が知っている場所が作品の舞台になるのは、やはり嬉しいものです。
さらに、探偵事務所に地図が登場しました。
実際の位置関係や、昔の航空写真まで調べて記事を書いているこのブログとしては、作中の地図が現実のどこを示しているのか、どうしても気になってしまいます。
そこで実際の地図にプロットしてみたところ、何となくの位置関係は分かるものの、海岸線などの形は現実とは異なっていました。
そのため、今回のプロットは作中の地図を現実の地図に無理やり合わせた部分もあります。あくまで私なりの推測によるものなので、その点はご理解いただければと思います。
今回は放映中の作品を題材にしたこともあり、放映終了後にこの記事を読まれた方からすると、「今さら分かりきったことを書いている」と感じる部分もあるかもしれません。その点については、あらかじめご了承ください。
これまでにも、いくつか聖地巡礼の記事を書いてきました。
それらの作品では、実際の街並みや建物が細かいところまで忠実に描かれており、制作を手掛けるCloverWorksの取材力には感心させられました。
今回の『名探偵プリキュア』は、そこまで現実の地理や街並みに忠実な作品ではありませんでしたが、今後のストーリーで、地図に描かれた○×と、公園や水辺などの場所との関係が明らかになったら、今回作った地図にも意味が出てきそうです。
果たして、あの○と×は何を意味しているのか。
現時点ではまだ分かりませんが、これからの『名探偵プリキュア』の展開とともに、この地図の謎が明らかになるのも楽しみにしています。




