きっかけ
この間、まちカドまぞく展に行きまして、そこで見つけたのは、「まぞくごろし」。

本当にあるのかと、調べてみたら…

写真 まぞくのとっくりセット(ランチョンマット付)・信州まぞくころし定番
ありました。(まぞくのとっくセット)

なんか余計なもの買ってない?



前々から家で熱燗をしてみたいと思ってたら、まぞくに背中を押されちゃったね



今回はついでにポチった、とっくりを使って、日本酒の最適な温度をレビューして検証記事になります



最初の「まぞくごろし」関係なくない??
熱燗は奥が深い(温度ごとの呼称を紹介)
「熱燗」と言えば一般的にはあったかい日本酒のこと言いますが、実は50℃の日本酒を「熱燗」と読んでいます。他の温度帯にもそれぞれ呼称があり、5℃ごとに呼称が変わってきます。
表 日本酒の温度と名称表


30℃以上の日本酒を総称して「燗酒(かんざけ)」と言い、15℃以下のお酒を冷酒としています。
日本酒によって、おいしい温度帯があってそれを見つけるのも日本酒の楽しみであります。
よく言われているのは、純米酒と本醸造酒は燗酒向き。辛口であれば、燗酒にすると程よい甘さになり風味の違いを味わえます。
吟醸酒や生酒などフルーティーな味わいやフレッシュさを売りにしている酒は、燗酒にすると風味を崩してしまうのであまりお勧めできません。
乾杯のお酒は(検証したお酒)
乾杯に選んだお酒は「樽酒」です。 「樽酒」と聞くと鏡開きでもするの? と思うかもしれませんが、ビン詰めした商品が売っていました。


写真 だわり屋にて購入 お正月用に金粉が入っていた
一般的に入手しやすい樽酒は菊正宗の樽酒になるかと思いますので、「樽酒気になる!」と思った方は近くのスーパーで購入できます。
「樽酒」と言うと、ウイスキーみたいに樽で熟成をさせたお酒と思わるかもしれませんが、樽に詰めるのは1週間程度です。
樽に使用するのは杉の木で杉の香りが日本酒に移る頃合いで、ビンなどに詰め替えられています。
1週間以上樽に詰めてしまうと苦味やえぐみが出てしまうそうですよ。
樽酒のおいしい温度を調べてみた
樽酒は日本酒を杉の樽に詰めて製造します。なので樽に詰めた日本酒によって風味が変わってきます。本醸造・純米酒であれば燗酒向き、吟醸酒であれば冷酒向きであります。
そんで、乾杯のお酒は… わからん。
でもまぁ、常温で飲んだ限り本醸造酒の風味に近いので、本醸造酒でしょう。(今度、買ったお店に聞いてみます)本醸造酒ということなので、燗酒の最適温度を調べてみます。
検証方法(作り方)と評価ポイント
鍋に沸騰したお湯をいれて徳利をお湯で温めます。ここでポイントなのは、徳利を均等に温めること。
鍋に火をかけてお湯にすると、なべ底が熱くなってしまうので、別の鍋でお湯を作って移し替えるのがオススメ。
本やサイトではとっくりの9割をお湯につけると解説されていますが、とっくり内の日本酒の水位より、お湯が高ければそこまで問題ないかと思います。
評価ポイントは香りと風味。樽酒は杉の香りを楽しめるお酒なので、香りを念頭に置いて、日本酒の風味とのバランスが良い温度を探ってみます。
キッチン用の温度計を使って、5℃ずつ温度を上げておちょこ一杯ずつ飲んで検証をしました。


写真 キッチン用温度計で日本酒の温度を計測
結果
30℃(日向燗)…ヒノキの香りがフワッとする。風味は常温とあまり変化はなくアルコールの重みを感じる。いわゆる”酒”って感じ。
35℃(人肌燗)…5℃違うだけでこんなに変わるのかと驚いた。日向燗より重みが減り風味が良くなる。ヒノキの香りはほのかにする。
40℃(ぬる燗)…風味が人肌燗よりまろやかになる。それ以外は人肌燗から変化なし。
45℃(上燗)…風味はぬる燗よりさらにまろやかになり、酒って感じの香り(アルコール感?)はほぼなくなり、ヒノキの香りが一番強くなる。
50℃(熱燗)…酒って感じ(アルコール感)の香りが強くなり、ヒノキの香りは消えるが、後味にひのきを感じる。風味は上燗とほぼ変化ない。お店で出てくる熱燗はこの温度で提供されていたことに驚きを覚えた。
55℃(とびきり燗)…酒って感じ(アルコール感)の香りがさらに強くなり、熱燗同様に後味にひのきを感じる。風味がさらに良くなり、スッキリとした飲みやすさ。個人的には飲みやすさで選べばここが一番よい。
まとめ
ヒノキの香りが一番よく出るのは、45℃(上燗)でした。ここがヒノキの香りのピークで以降は酒の香りが強くなってくる。風味は温度が高くなるほど良くなった。
ヒノキの香りを感じたいのであれば、45℃(上燗)がオススメ。個人的には、飲みやすさを重視してしまうので、55℃(とびきり燗)が好きです。
風味に関しては酒によって異なるので、あまり参考にならないかもしれませんが、5℃変わるだけで風味や香りの変化が感じられて面白い検証でした。
いつもの温め方は…



今回は映えを意識してちゃんと鍋に入れてレビューしてたけど、本当は別の方法でやろうとしてたでしょ



実は…


写真 カップヌードルBIGにとっくりを入れてからお湯を注ぐと、少ない湯量でつくれる



ランチョンマットで誤魔化してるけど、なんか貧乏くさい



いやいや、少ない湯量でつくれてもう一個容器を用意すれば、保温用と温め用の2つを低コストで用意できる画期的なやり方でしょ





しかも蓋もついているし



それ、本来の用途じゃないから!
ダメじゃん!!
参考文献
「日本酒の科学 水・米・麹の伝統の技」 著:和田 美代子、ブルーバックス、(2015年)